灯りを点けないくらい部屋
浮かび上がる真っ白な両手
只ソレをじっと眺める
どうして死ねないんだろう
早く死ねばいいのに
どうして死ぬことができないんだろう
どうしてこの両の手は未だに思い通りに動くのか
早く死ねばいいのに
まるで他人のもののような
浮かび上がる真っ白な両手
覚悟が足りない?
未練がある?
執着してる?
勇気がない?
どれもこれも当てはまるような気がして
たまらず外に飛び出した
走って走って
白い吐息が鬱陶しい
何気なく見上げたのは
闇夜を貫く真っ白なコンクリート
気が付けば上っていたのは
最上階へと導く螺旋階段
真っ白なコンクリートの淵に立つ
鬱陶しい本能の声を捻じ伏せる
両手を広げ、コンクリートの淵を蹴る
そうして僕は
アスファルトに咲く一輪の
紅い紅い紅い華となる―。
朱花