その気配に眼を開ける。
 途端に鮮明に耳に届くのは小さな小さな呻き声。
 敷き布をきつく握りしめて眉根を寄せて。
 唇から零れ落ちる僅かな声は苦しげで。
 その様に、眉を顰めて後ろからそっと、腕を回す。
 ぎゅっと、抱きしめた、まだ骨身がちな体は僅かに震えていたけれど。

「……っ………」

 やがて、指は敷き布から外れて、白沢の夜着を、ゆるく握り込む。
 苦悶の表情は穏やかな寝顔へと変わっていた。
 その唇から規則正しい寝息が聞こえてきたのを確認して。
 腕の中の温もりに誘われる様に、もう一度眠りに就く。


 体温を、安らげる温もりを欲しているのはどちらも同じ。